短歌一期一會

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    今回は百人一首第86番歌、西行法師の一首をご紹介します。西行法師(86番)『千載集』戀・926嘆けとて 月やはものを 思はするかこち顏なる わが涙かな【現代語譯】「嘆け」と言って、月が私を物思いにふけらせるのだろうか。――いや、そうではない。(本當は戀の惱みなのに)まるで月のせいであるかのように流れる、私の涙なのだ。【鑑賞】この歌の魅力は、「月」と「戀心」の關係を巧みにすり替

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    今回は、百人一首第七十九番歌、藤原顯輔 の歌をご紹介します。「崇徳院に百首の歌たてまつりけるに」秋風に たなびく雲の 絶え間よりもれ出づる月の 影のさやけさ(『新古今和歌集』秋上・四一三)<現代語譯>澄みきった秋風が夜空を渡っていく。その風に吹かれて、横にたなびく雲――その雲の切れ目から、ふとこぼれ出る月の光の、なんと清らかで、澄みわたっていることだろうか。<鑑賞>

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    今回は、百人一首第84番歌、藤原清輔朝臣の歌をご紹介します。藤原清輔朝臣(84番)『新古今和歌集』雜・1843永らへば またこの頃や しのばれむ憂しと見し世ぞ 今は戀しき【現代語譯】この先も生きていけば、今はつらいと思っているこの時期のことも、いつか懷かしく思い出す日が來るのだろうか。かつては苦しいと思っていた昔の日々さえ、今では戀しく感じられるのだから。【鑑賞】こ

  • 【百人一首歌の解説(78番歌)】源兼昌の歌

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    今回は、百人一首第78番、源兼昌(みなもとの・かねまさ) の和歌をご紹介します。百人一首 第78番淡路(あはぢ)島かよふ千鳥の 鳴く聲にいく夜寢覺めぬ 須磨の關守(せきもり)この歌は、淡路島から須磨へと通ってくる千鳥の、もの悲しい鳴き聲を聞いて、須磨の關守は、いったい何度、夜中に目を覺ましてしまったことだろうか。という情景を詠んだものです。夜の海を越えて響く千鳥の聲が、

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    今回は百人一首第83番歌、皇太后宮大夫俊成、藤原俊成の歌をご紹介します。【皇太后宮大夫俊成(83番)】『千載集』雜・1148世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る山の奧にも 鹿ぞ鳴くなる【現代語譯】この世の中には、悲しみや辛さから逃れる道などないものだ。思いつめて分け入ったこの山の奧でさえ、哀しげに鳴く鹿の聲が聞こえてくる。【鑑賞】この歌は、人生の苦しみから逃れようとして山奧に入

  • 【百人一首歌の解説(80番歌)】待賢門院堀河の歌

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    百人一首第八十番歌、待賢門院堀河の和歌を解説します。「長からむ 心も知らず 黒髮の 亂れて今朝は ものをこそ思へ」は、男女が一夜を共にした翌朝〈後朝(きぬぎぬ)〉に、女性が男性の歌に返した返歌です。「あなたの氣持ちは、これから先も變わらず續くのでしょうか」——そう問いかけながら、別れの朝、亂れた黒髮に自らの心の亂れを重ね、不安と戀心を詠み上げています。作者の待賢門院堀河は、12世紀頃に活躍

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    今回は、百人一首第85番歌、俊惠法師の和歌をご紹介します。俊惠法師(85番)『千載集』戀二・766夜もすがら もの思ふ頃は 明けやらでねやのひまさへ つれなかりけり【現代語譯】愛しい人を想いながら、夜通し物思いに沈むこの頃。夜はなかなか明けず、寢室の隙間から差し込むはずの光さえも、どこか冷たく無情に感じられてしまうのだ。【鑑賞】戀に惱む心は、時間の感覺さえも變えてしまいま

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    今回は、百人一首第八十二番歌、道因法師の歌をご紹介します。【道因法師(八十二番)】『千載和歌集』戀三・817思ひわび さても命は あるものを憂きに堪へぬは 涙なりけりつれない相手を思い續け、思い疲れてしまうほどの戀。それでも命だけは消えずに殘っているのに、そのつらさにどうしても耐えきれず、こぼれ落ちるのは涙なのだ――そんな切實な心情を詠んだ一首です。「思ひわび」という言葉には